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ささやかな眼差しを残したい

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友人から依頼された結婚式の生い立ちビデオを依頼された。
膨大な写真と共に、数本の8mmフィルムを渡されたので、
会社にフィルムを持ち帰り、転がっていた映写機で投影してみる。
カタカタと不安定な回転の映写機の音と共に映し出されたのは、
幼少の友人がヨチヨチ歩きで母親に抱きつく様子、
覚えたての自転車で家のまわりを走る様子など、
どこにでもある日常を映したホームムービーだ。
素人の映像で、背景や構図は全く考えず、カメラワークも落ち着かない。
娘の姿を残したい。父親の思いがフィルムから溢れ出し、
その温かい眼差しに涙が止まらなかった。
それ以来、個人が記録した8mmフィルムを社会で活用する方法を模索している。
思考錯誤しながら、「地域映画」という多世代の市民が参加しながらつくる映画を生み出した。
埋もれているフィルムをただ残すのではなく、
映画づくりを通して世代を超えた繋がりを生んでいる。
上映をすれば涙して喜ぶ人々の姿がある。
今、8mmホームムービーは、宝になるかゴミになるかの瀬戸際に立たされている。

映画監督 / プロデューサー

三好大輔(株式会社アルプスピクチャーズ代表)

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